【アミロイドと核酸高次構造】RNA相転移によるメタアグリゲート形成と伝播

矢吹 悌

所属:熊本大学・発生医学研究所・助教

DNA は二重らせん構造、RNA は一本鎖というのが一般的な理解かと思いますが、実は細胞内において DNA/RNA はそれぞれ多彩な高次構造をとり、生体機能調節に関与することがわかってきました。その中でもグアニンが豊富な一本鎖 DNA/RNA ではグアニン四重鎖 (G4) 構造と呼ばれる核酸高次構造体が形成されます。私達の研究グループでは、これまでにグアニンリッチなリピート伸長病において形成される RNA グアニン四重鎖 (G4RNA) が疾患発症に寄与すること (Sci Adv. 2021. 7(3):eabd9440.)、細胞ストレス時に神経細胞で形成される液相顆粒に G4RNA が必須の役割を担っていること (Sci Adv. 2023. 9(8):eade2035.) を明らかにしました。また、最近ではパーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患に関与するアミロイド形成のキーファクターが G4RNA であることを突きとめました (bioRxiv. 2023 & 論文投稿中)。本研究では、G4RNA を起点とした『G4 メタアグリゲート』が神経変性疾患発症の中核であるという新しい概念と新規治療法の提唱を目指します。

  • 研究協力者 松尾 和哉
          熊本大学 発生医学研究所 ゲノム神経学分野 大学院生
  • 研究協力者 小宮 銀仁
          熊本大学 発生医学研究所 ゲノム神経学分野 大学院生